不動産投資で収益を上げるためには、さまざまな業務が行われ、またそれらには資格が必要となる場合が多いです。広く知られている資格には「宅建士」「不動産鑑定士」「マンション管理士」などですが、近年「不動産キャリアパーソン」という資格が誕生しました。
不動産キャリアパーソンとは?
不動産に関わる取引を行う人が、安心・安全に取引を行えるように実際の実務に基づいた知識に重点をおいた資格で2013年に作成されました。
キャリアパーソンに必要な実務知識
- 物件を実際に調査するときに必要とされる注意点
- 不動産広告に関する規制
- 不動産の売買、賃貸借契約の基本など
不動産キャリアパーソンが必要となった理由
不動産キャリアパーソンという資格は「溢れるネット情報」という時代ニーズに応じて誕生したのです。
不動産取引の過去 | 不動産購入時 1、 不動産業者の事務所に赴く 2、 情報を閲覧と共に担当者に相談 3、 条件の合う物件を担当者の案内で見学
このように、不動産物件の購入は担当者との二人三脚で進んでいくのが一般的でした。 また、不動産業者は自社情報を増やすために、業者間の連携を綿密に行っていました。 |
不動産取引の現在 | 不動産購入時 1、 不動産ポータルサイトを閲覧 2、 興味のある物件広告を提示する業者に連絡 3、 実際に物件を見学
不動産業者は、独自で情報共有の努力を行わずとも業者専用の情報共有サイトREINSを利用することで情報を得ます。 |
顧客だけでなく不動産業者自体が物件を十分に調査した上で顧客に提供する訳でもなければ、信頼関係を築いた業者間で取引する訳でもなく、あくまでも提示される情報を基に売買が進行されたため「広告などに対する十分な規制」「より細かな契約書」が必要とされるようになったのです。
その結果、法律に特化した宅建士の資格だけではなく、より実務に特化し安心できるサービスを提供できる知識を得る必要が出てきたことから、不動産キャリアパーソンと呼ばれる資格が誕生したのです。
不動産キャリアパーソンの詳細
資格取得方法
不動産取引における実務基礎知識を中心とした学習。
学習方法は、テキストとインターネット講義動画を参考に勉強できる通信教育の講座形式。講座受講後に、月に1回開催されている修了試験に合格することで資格取得。
合格基準は40問中28問(7割)の正解で合格。
資格認定者
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)による認定
取得メリット
不動産キャリアパーソン取得するメリットは二点あります。
・実務中心の資格なため、少ない業務経験でも知識が蓄積できる。
・不動産に関わる専門業務に従事していない不動産関係者にも有効
不動産業界の仕事は多岐に分かれており、売買、賃貸、仲介、一戸建て、マンション、土地、新築、中古などのように取引形態や商品が分類されています。その中で1つの商品のみに関わった業務しか行っていなくても、不動産キャリアパーソンを学ぶことで、日頃業務に関わっていない携帯の知識を得ることが出来るだけでなく、日常業務に対しても深い見識をもつことができます。
不動産経営を活かす資格紹介
不動産鑑定士
法律に基づき不動産の鑑定評価を出す国家資格です。
不動産に関連する資格の中では最も難易度が高く、同様の難易度とされる資格には一級建築士(建築業界最難関)と同程度の難易度とされています。
不動産鑑定士の業務は、土地や建物などの不動産における経済価値を将来まで見据え、数値化することです。
マンション管理士
マンション管理士も難易度の高い資格であり、不動産鑑定士と同様に難しいとされる国家資格です。
資格に必要となる知識には「マンション管理組合の運営」「大規模修繕時に必要となる建物構造知識」「マンション維持管理知識」など、マンション維持管理に関わる内容を幅広く出題されます。
業務内容は、管理組合の立場からのマンション管理コンサルティングです。
宅建士
2015年までは「宅地建物取引主任者」と呼ばれていた資格で、宅地建物取引業法に基づいた国家資格です。
宅建士を所有することで「重要事項の説明」や「契約書への記名押印」に対する責任義務能力があるとされています。これら説明業務が行えなければ、不動産契約時に担当者(資格未所有)に、宅建士も同行する必要が出て来るため、資格取得義務付けている会社も多いです。
不動産業者は、宅建士の資格保有者は社員の人数に対して一定人数確保する必要があるため、不動産業界に従事するなら宅建士の資格は必須となります。難易度は、不動産鑑定士やマンション管理士よりも低く、2級建築士やFP1級と同様の難易度と考えられています。
まとめ
不動産キャリアパーソンは、現存している不動産に関わる国家資格の中でも、より実務に特化した資格です。宅建士、マンション管理士と同様に業務経験がないと、なかなか記憶し難い内容です。
しかし、不動産業自体が活性化し、インターネットを介することで透明性が低くなっている以上、業務を任せる人間に高い専門性が必要とされるのは仕方がない事と考えることができます。
そのため、実務レベルに沿ったカリキュラムにより作られている不動産キャリアパーソンの資格は、顧客の不安を払拭するためにも、企業としては取得推進が必要となる資格と考えられています。