知っておきたいタワーマンションの市場動向

不動産投資用マンションの売買動向は鈍化傾向です。マンションの価格上昇傾向は依然として上昇を続けています。景気は過去の好景気水準に近づいているものの未だ超低金利が継続され、不動産などの担保付き融資に対しても金融緩和が行われています。

資金調達的にも好ましい環境が出来上がっている中で、外国人による日本国内の不動産購入(インバウンド投資)や、個人投資家による資産形成など、投資用としてマンション売買は現在も積極的に行われています。

このように海外、国内と積極的に行われている不動産投資ですが、富裕者層向けに開発されたタワーマンションの動向は沈静化の傾向が見られ始めています。

 

富裕層のタワーマンション購入は相続税対策が目的

都心の不動産流動の活性化に伴い不動産投資が増えているものの、富裕者層の目的は相続税対策としての購入に限定している人も多く見られます。

1億円の預金と、1億円で購入したマンションがある場合、現金預金であれば相続税は全額にかかってきます。しかし、マンションであれば課税評価額を中心に相続税が適応されるため、3,000万円程度まで減額されることがあるためです。

マンション購入額と評価額の差が、相続税対策となるのです。これは戸建住宅でも同様ですが、マンションの方が相続税対策向けとなるのは、マンションの購入金額の多くは建物代金がしめるためです。建物であれば毎年減価償却が行われるため課税評価額が下がりやすいためです。特に都心にある高級タワーマンションであれば、通常のマンションよりも建物の比率が高いだけでなく、最上階、東南角部屋などにより購入価格と評価額の差がより一層大きくなります。そのため、高級タワーマンションは富裕者層にとって有益な相続税対策となるという評判が高まり人気を集めたのです。

しかし、相続税を気にする必要のない一般投資家にとっては、タワーマンションは購入額が高いもののそれに比例して家賃が増える訳でもないため収益性は低いという欠点があります。また、高額な維持管理費用、固定資産税、修繕積立金を考えた場合、キャッシュフローによる黒字は難しく、積算評価も低くなるため賃貸マンションの数を増やそうと考えた場合に、足手まといとなる可能性が高いです。また、売却益を狙う際に注意が必要となるのは、購入価格以上の価格が付けば良いという単純なものではなく、売却時には「仲介手数料(購入時・売却時の2回分)+登記料+不動産取得税+固定資産税+金利-家賃収入」をプラスした金額を上回る値上がりがあって初めて売却益を得ることができます。マンション購入に係る経費は一定ではなく、売買金額に比例して高くなるため、高級タワーマンションのように高額であれば高額であるほど、売却益を得るためには大きな値上げが必要となります。

 

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都心中心の展開が困難な投資用マンション

不動産経済研究所が発表するマンション市場動向によれば、東京都心部の地価上昇は大きく、都心部でのマンション購入を困難なものとしました。

2017年上半期に供給が行われた投資用マンションは60物件、3,222戸です。前年同期と比較した場合には、2016年1~6月「83物件 4,121戸」であり、物件数は27.7%の減少、戸数も21.8%も減少しています。

反面、売買平均価格は2,826万円(前年同期2,754万円)であり㎡あたり111.9万円(前年同期111.3万円)というように、戸当たりでは72万円(2.6%)、㎡あたりの単価も0.6万円(0.5%)の上昇が見られます。

供給が行われる区エリアは14区(前年同期17区)と3区減少した他、神奈川、千葉などの東京周辺でも供給数が減少しています。

今後、首都圏の投資用マンションは、地価上昇の影響を受けますます売買は難しくなっていくと考えられ、当面のマンション供給は供給エリアを拡大することにより対応されると考えられています。

 

まとめ

不動産景気の回復による活動期は徐々に停滞傾向に向かっています。立地の良い都心とはいえ、購入後の売買価格や家賃が永続的に高くなっていくなどと考えている富裕者層ばかりではありません。しかし、上昇トレンドの最高値で売却することはとても困難と考えられています。そのため、安穏と相続税対策として考えているだけではなく「大きな利益が出るなら高い価格で売り抜けよう」このように、考える富裕者層も決して少なくないのです。

 

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