賃貸マンション経営において入居者が退去した後の空室は大きなリスクです。しかし、次の入居者を募集する前に、補修・修繕を行う必要があります。
リフォームの規模が大きくなるほどに修理費用が大きくなります。しかし必要不可欠といえるその支出を惜しんでしまうと入居者が決まりません。そのため「修繕費用」と「入居促進」のためのバランスをとることが重要となります。
マンション修繕、修復の3段階
マンションにとって必要な修繕や修復は3段階に分かれています。どの段階での修繕を行うか?入居者促進のためにどこまで行う必要があるか?の判断を正しく行うことが重要です。
1段階目 原状回復
2段階目 リフォーム
3段階目 リノベーション
原状回復は、入居者の退去後に必ず行われる修繕です。
表面的な修理を行い、部屋の状態を入居前に戻すことを目的とします。クリーニングを中心に壁紙の張替が一般的です。
原状回復とリフォームの境界は曖昧ですが、経年劣化に関する修繕を行わないことが原状回復の特徴といえます。
リフォームは、部屋を新築時の状態に戻すことを目的としています。
新築状態を目指す際に、ターゲットとなる人が必要とするポイントや、流行を取り入れるところが大きな違いとなっています。ときには床やフローリングで大きな印象変化を行う場合もあります。
リノベーションもリフォームと同様に、新築と近い状態とすることを目指します。素材を活かしたコンセプトに、特定の趣旨が取り入れられているところが大きな違いです。「アウトドア風」「メルヘン風」などとコンセプトを設け価値向上を目指すなどが行われています。
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修繕における費用対効果
入居者となるターゲットにとって、十分な設備や間取りなどの条件が整っている場合であれば原状回復程度の費用で済みます。しかし入居率が低下し、主流となるマンションの状態と大きくかけ離れている場合には、修繕の2段階目であるリフォームを目指すことが多くなります。
リフォームを行う際のコストは、必要となる工事次第といえますが、一般的なコストは家賃の2~3か月が目安とされています。家賃10万円程度であれば20~30万円が目安とされます。
しかし退去者の入居期間が長い場合には、前にリフォームしたときと比較したときと比較し、老朽化が目立つため、費用の投下を増やす必要が増えます。その際には家賃6か月を目安とするとよいでしょう。
リフォーム費用の目安
入居済の賃貸マンションを購入して迎えた退去。退去時の部屋の汚さに、修繕費用として家賃の10か月のリフォーム費用が必要となった事例があります。入居済のマンションを購入し安心しきっていたものの、購入から10か月で大きな修繕費が必要となってはたまりません。
平均入居期間を5年(60か月)と定め、リフォーム費用3か月を目安とした場合
「3か月 ÷ 60か月(5年) × 100 = 5 (%)」
目安とする修繕費の目安は5%といえます。
しかし、10か月の家賃収入で10か月分の修繕費がかかった場合には、100%の支出で大きな損失となります。入居済の賃貸マンションを購入した場合には、このようなリスクもあるため注意が必要となります。
このようなレアケースは滅多に遭遇することではなく、賃貸経営における標準的なビジネスモデルでは、年間の経費率の目標は15~20%とされています。目標経費のどれくらいを修繕費に充当するかを考えておく必要があります。最初から必要な経費の目標を定めておくことで、どこまで修繕するかに迷った際の良い目安となるためです。
大幅改装ともいえるリノベーションを目指す場合には、大きな価値の向上を目標とします。コンセプトを明確にしてデザインを追求することで物件の魅力を高め、家賃を値上げし入居率の向上に努めます。
例えば、古いファミリー向け物件で、月々の家賃が12万円としましょう。入居者募集で毎回苦労するくらいなら、大がかりなリノベーションを行い、家賃15万円を目指した場合「入居期間60か月×3万円(上昇した金額)=180万円」の費用をリノベーションに受湯しても、入居率が上がる分だけ効果的という考え方ができます。
また、家賃の上昇は売却を考えた際に高値をつける要因にもなるため、無視する訳にはいきません。
修繕時のコストダウン対策
修繕費用をかけることが重要だったとしても、安く効果的な成果がだせるならそれにこしたことはありません。そのためにも安く修繕を行うためのポイントを知っておく必要があります。
修繕費において最大のコストは人件費です。
そのため、誰が修繕するかが重要となります。
「自分で修理する → 各専門業者に分離発注のための見積もりを行い発注する → リフォーム業者に相見積もりを出し発注する → 管理会社に任せる」
この順で費用は多くなっていきます。最大のコスト削減はオーナー自身が、壁紙の張替、傷ついた部分の交換などを行う。オーナーがDIYを得意とするなら有効です。
まとめ
リフォームは、潤滑なマンション経営にとって必要不可欠です。しかしマンションの需要が高く、市場に対して十分な競争力を持っているなら、無理にマンションの価値向上を目指す必要もありません。
しかし需要と供給のバランス次第によっては、物件の差別化が必要となります。十分な差別化が行われているのならば、過剰なリフォームは不要となるため、物件そのものや周辺の状況を分析を十分に行いどの程度の修繕が必要かを判断することが重要となります。
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