不動産投資の増加と共に、中古マンションの購入を行う人が増えてきました。
特にマンションブームの頃に、活用性の高い立地に建てられた築40年を超えるマンションがファミリー世帯に人気です。
中古マンションの人気を後押ししたのが、鉄筋コンクリート造(RC造)で作られたマンションは、仕様書的には100年間利用できると周知されたことにあります。
地震大国と呼ばれる日本においても、構造の変化・技術の促進により、維持・管理次第では、100年に渡って利用できると言われ始めたのです。
マンションの寿命は、鉄筋・コンクリートなどの基礎部分の物理的な消耗のみで判断することはできません。
機能性・経済性・メンテナンスへの配慮を行うことで、長く利用することができるのです。
中古マンションの購入時には、残り何年の利用が出来るか?も配慮し購入することをおすすめします。
■マンションの耐用年数とマンションの平均的寿命
住居を目的とする「鉄骨鉄筋コンクリート・鉄骨コンクリート造」であるなら、耐用年数は47年とされています。
この耐用年数は、資産価値を算出する減価償却費の算定基準です。
そのため、物理的・実際に利用できる寿命とは大きく異なります。
現状公開されているマンションの平均寿命は「利用が出来ない」「耐久度の限界」などを基準としていません。
マンションの解体・建替えをもって寿命の終了とされ計算されているのです。
そのため、マンションの平均寿命は全国で40年未満となり、実際の使用可能年数と大きくかけ離れているのです。
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■マンションの物理的寿命
マンションの構造で最も利用が多いのが鉄筋とコンクリートで作られるRC構造です。
コンクリートは、アルカリ性で圧縮強度・耐久強度に優れた素材です。
セメントと水の比率がとても重要で、水の比率を多くしてしまった場合「ひび割れ」の原因となり劣化を早めてしまいます。
反面水の比率を低くすることで、コンクリートが厚く・頑丈になります。
鉄筋は、粘り強さを生み出し引っ張る力に強く作用するため、コンクリートと併用する事で強いマンションとなります。
しかしコンクリートの扱いを間違うことで、鉄筋のサビ・劣化の原因となり、耐久年数は十分なポテンシャルを引き出す事ができず短いものになります。
構造による物理的寿命への影響
SRC(鉄筋鉄骨コンクリート)構造 鉄筋コンクリートの芯に鉄骨が入っています。
RC(鉄筋コンクリート)構造 コンクリートと鉄筋の強さを兼ね揃えています。
S(スチール)構造 柱・梁などの骨組みは、鉄骨で作られています。
構造上の強度は、SRC造>RC造>S造 となり、強度が強くなるにつれ寿命も長く、費用も多くかかります。
SI(スケルトン・インフェルノ)
スケルトン(骨格・構造体)とインフェルノ(内装・外装・設備・間取り)を分離して建設した構造をいいます。
寿命の長いスケルトン(箱)と、寿命の短いインフェルノ(中身)を切り離し建設することを言います。
その結果、メンテナンス・交換を容易に行えるようになり、長期間の建築物の活用を可能にしたのです。
建築工事標準仕様書による寿命【RC構造】
大規模修繕が不要とされる期間が65年、耐久性限界期間が100年とされています。
施工技術と材質の品質向上により、耐用年数は確実に日々伸びていると言えます。
また定期的な点検と補修は、マンションの耐用期限を延長させるために重要となります。
■機能性・経済性から見た寿命
欧米のRC構造マンションでは、築100年以上というものも多いです。
しかし日本のマンション建替えまでの築年数は、欧米に比べ短いです。
・全国平均33年
・東京都内40年
日本のマンションが短命な理由
・高度成長期の建築ラッシュ時の、コンクリート品質が粗悪なため老朽化が激しい
・給排管設備の交換、メンテナンスの不備
・給排管設備がコンクリートに埋設されていることにより、交換や修繕を行えない
・交換、修繕が行えない事による機能停止
・高階層にエレベーターがない等の生活様式の変化
・賃貸需要の低下
立地から見た寿命の変化
マンションの劣化は、立地や環境にも大きな影響を受けます。
・海に近い場合 塩害対策が必要です
・雨風に晒される 強風や雨水による劣化
・日当たりが悪い カビやコケの付着
環境によって、劣化の具合や種類が異なり、状況に合わせたメンテナンスが必要となります。
■まとめ
マンションの寿命も維持管理を適切に行う事で、寿命を延ばす事ができます。
特に短命といわれる日本のマンションは、機能的要素や経済的要素が大きいため維持管理次第で資産価値の維持へと繋がるのです。
マンションブームから半世紀近くが経過したことで、ライフスタイルに合わせたリノベーションによる再利用を行う事によって、マンションの延命に繋がり、所有者に末長く利益を提供してくれるでしょう。
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