投資用の賃貸マンションと居住用マンションの売却では、異なる点があります。
重要なのは自己の売却利益を上げる事だけではありません。
購入者が賃貸経営を行った際に十分な利益を得る事が出来るとアピールする事なのです。
■賃貸収入が発生している状態で売却
収益物件(賃貸物件)の売却は、入居者がいては内覧を自由に行えません。
内覧を行うには実際に入居している人の協力が必要となるため、そのための「話し合い」「金銭交渉」などが必要となります。
手間は多くなるものの、投資用不動産は「賃貸契約中」の物件での売却が好ましいとされます。
投資用のマンションを購入する人の殆どが家賃収入を目的にしているためです。
そのため購入した日から家賃収入が約束されている「入居済」の物件は重要なアピールとなります。
空き室状態のマンションでは、入居の保証もなく数字上の利回りのみの先行になります。
そのため偶然退去中と売却が重なったに過ぎない場合であっても、見合わない価格に値切られてしまうことがあります。
売却中に退去予定が判明した場合は、早い段階で管理会社に入居者募集の依頼することが大切です。
また、入居者の退去時の修繕費用を売主・買主どちらが負担するかを明確にしておくことも重要です。
■売却のタイミング
一般的な不動産売買は1~4月の成約率が上がります。
この1~4月の成約率の上昇は、居住用物件が中心です。
収益物件の場合は、販売時期を1~4月に定める必要はありません。
収益物件としての1~4月は「大学卒業」「転勤」などによる空き室増加のため、収益物件の売却には不利になる場合があるのです。
・売却を考えた時期に、借入れ中のローン返済を完了できるか?
・家賃収入と経費のバランス上、十分な利益を得る事ができるか?
・周辺の類似物件との間に、賃料・条件など大きな差が生まれていないか?
条件を満たしたタイミングで、適正な売却額での販売が重要です。
■投資用不動産売却を得意とした不動産業者の選択
売却の委託を行う不動産業者を選択する前には、業者情報を事前に調べる事が重要です。
不動産業者には、得意不得意分野が大きく分かれます。
・投資用、居住用
・マンション、一戸建て
・地域
これらの得意不得意を無視した場合、販売アピールが的外れとなりかねません。
適正がアピールは、売却の成立時期や販売価格に大きな影響を与えてしまうのです。
業者の選択には信頼だけでなく、「投資用の情報が多い」「地域的な売り出しが得意」「販売地域が広い」などの特徴を持つ業者を選ぶ必要があります。
これらの業者の選択には、一括査定サイトが便利です。
必要な情報を記入するだけで、複数の業者へと依頼が行われます。
「投資用物件の売却が得意」とする不動産業者をWeb上から事前に選び、一括査定サイトを利用し複数業者に依頼します。
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■売却費用を事前に把握しておく
マンションの売却時には、売却価格だけでなく、経費の支払いも把握しておく必要があります。
所得税・住民税
譲渡所得(所得税)は、
【売却金額 > 取得費(購入時の諸費用) + 譲渡費用(売却時の諸費用)】
このような状態の時に課税対象となります。
売却年の1月1日時点で税率が変わります。
短期譲渡所得(所有期間が1月1日時点で5年以下)
税率39.63%(所得税30.63% 住民税9%)
長期譲渡所得(所有期間が1月1日時点で5年超え)
税率20.315%(所得税15.315% 住民税5%)
売却にかかる諸費用 ・印紙税
・金融機関への繰り上げ返済と、その事務手数料
受領した売買代金を利用し残債の返済を行います。
残債割れの場合、残債分の費用が必要です。
・抵当権抹消登記費用と手数料
・仲介手数料
売却時の精算費用
受領分(日割り計算で精算)
固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金
支払分
入居者から預かっている敷金等
前払いで受け取っている家賃を日割り計算で精算
滞納金・前受金がある場合の清算
管理費や修繕積立金に滞納がある場合、マンションの売却と共に支払い義務は買主が継承します。
そのため、引き渡し完了前に精算する必要があります
■入居者へオーナー変更通知
売買契約が成立した時点で「オーナー変更」「新オーナーに引き継がれた敷金・保証金返還義務」を伝える必要があります。
家賃の振込先変更など、入居者の負担になることもあるため、余裕を持った連絡が重要です。
■まとめ
賃貸経営は、長期保有を前提とした不動産投資です。
他の投資に比べ、ローリスクで安定した投資商品ですが、売却を前提とした投資ではないため、売却時には予想外の費用が発生することがあります。
費用不足となりローンを完済できなければ売買自体が成立せず、罰金が発生することになります。
売却時には、入念な売却シミュレーションによる正確な売却額の想定が重要です。
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