相続税が払えない!?売却?物納?どうすればいいの?事例から学ぼう!

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相続税が払えない!?どうすればいいの?

これまでは7,000万円までの資産が非課税でした(子ども2人が相続する場合)が、昨年の2015年1月からは、相続する資産価値が「4,200万円を超える」と課税されるようになりました。

相続に関わる人が増加すればするだけ、トラブルや問題が発生します。

今回の場合、相続する資産が現金であれば、相続した後に現金で支払えます。ちなみに、株券の場合は、すぐ換金できる金融資産なため、現金と同じ扱いになります。

「不動産や美術品」を相続したら?

相続した物が現金なら、すぐ相続税を納めれば済む話ですが、もし、相続する物が「不動産や美術品」ならどうすればいいでしょうか?

売ろうと思っても、簡単には買い手がつかない場合もそうですし、誰かが住んでるとか、自宅兼店舗で商売をしている、今後も続けたい場合は特に問題です。
きっと「相続したいけど、手元に現金が無くて相続税が払えない!」と思うことでしょう。

現金が無くても相続税は支払える!?

相続税の支払いについて、現金が手元に無いからと嘆く必要はありません。
なぜなら、次の2つのうちいずれかを選択して税金を納める事になるからです。

1.家を売って現金化する場合

相続税を支払うために、不動産売却をすると決断したならば、納付期限である10ヶ月以内に決済しなければいけません。

また、相続税と所得税は、法律が違うため、不動産を売却したときの譲渡所得には、最低でも20%の所得税がかかってしまいます。(自宅の場合には、14%に軽減される)
もちろん、相続が発生してから3年10ヶ月以内に不動産を売却すれば、譲渡所得税を減額してくれる特例(取得費加算の特例と呼びます)もありますが、ゼロになることはありません。

相続した不動産が、相続税で評価された金額よりも、相場よりも高い金額で売却できる可能性もあります。

相場よりも高い金額で売却できるかも?

不動産の市場価値は日々変動しています。相続する不動産の価値ももしかしたら、昔よりも価値が上がっているかもしれません。

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2.不動産の現物(物納)で納める場合

相続税は、申告期限(相続開始から10ヶ月後)までに金銭で一時に納付することが原則です。
しかし、相続税は、資産に対して課税されるため、換金し難い不動産などの割合が高い場合には、期限までに納付できないことがあります。
そのような場合に備えて、「物納」という方法もあるのです。

また、税務署も、自宅や収益物件など売却をすると困ってしまう不動産を処分してまで相続税を納めるようにと強制はしません。
不動産を売らなくても、収入の中から毎年払うことができるのであれば延納の申請を認めています。

物納には、売却して現金で相続税を納めるよりも、物納すれば譲渡所得税がかからないといったメリットがあります。ただ、物納には、デメリットも存在します。

「物納」のデメリット

物納のデメリットは、税務署が市場価値では、相続する不動産を評価してくれないことです。つまり、あくまで、相続税で申告したときの評価額で、税金を納めたとみなされてしまいます。

また、物納で相続税を納める場合、次の「要件を満たす」必要があります。

【物納の要件】
(1)延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。

(2)物納申請財産は、納付すべき相続税の課税価格計算の基礎となった相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位で、その所在が日本国内にあること。

(3)物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと。

(4)物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること。

詳しくはこちら(国税庁HP)

相続税の納付についての事例

相続不動産を売却して相続税を納付するか、それとも物納するのか、それぞれにメリット・デメリットがあります。
説明だけでは、分かりにくい点もありますので、以下の事例を参考にしてみてください。

相続税3000万円を納める事に!?

仮に、3000万円の相続税を支払うことが決定し、路線価で3000万円の土地を相続したとします。

その土地を、市場で売却するか、物納するか、迷っています。
50年前に父親が買った土地で、その当時の売買契約書はありません。

市場で、土地が3500万円で売却できたとすれば、譲渡所得税は譲渡所得の20%となるので、665万円です。
手取りは2835万円ですので、3000万円の相続税を支払うと、165万円が不足します。(取得費加算の特例があるので、実際には、手取りはもう少し多い)

一方、物納するならば、路線価で支払ったとみなされるので、不足金額は発生しません。つまり、この金額であれば、不動産売却はせずに、物納を選択することになります。

物納する時の注意点

上記の事例では、物納する方が良いとなりましたが、物納する場合は、「境界確定や測量」を必ず行わなければなりません。

なぜなら、税務署は、物納された不動産を近い将来、価格を下げて売却します。その際に、境界確定や測量されていないと、不動産を売却できないからです。

ここまでの話を聞いて、とても素人だけで判断できる問題ではないという事がわかりますよね。もし、少しでも不安や心配があるのであれば、【相続専門のプロ集団がサポートしてくれる全日本相続専門所】に相談するようにしましょう!