社会問題から誕生した、新たな不動産ビジネスのチャンス4選

空家の放置問題の解決に向けた「特別措置法」が施行されたことで年々空家に対して問題意識が高まっています。

空家が問題とされる理由はさまざまです。

・空家には近づきたくないと考える人の意識と人に見つかりたくないという人の意識による「治安悪化」

・手入れ不足による「景観悪化」「害虫・害獣の発生」

・老朽化による「倒壊の危険性」

問題解決のため行政では「罰金」「強制執行(費用は所有者負担)」を定め、空家対策を本格的に始めたのです。

これをきっかけに停滞していた放置不動産物件も、中古住宅・土地として徐々に流通し始めました。

空地や空家などの土地や建物は、面積が広く、素材が良くても結局のところ放置するしかなかった物件です。

「罰則」「罰金」「維持管理費」「固定資産税」等を考えれば、格安でいいから手放したいと考える人が増えたのです。

それにより格安の空家を購入し、ビジネスチャンスとして考える人達も増え始めたのです。

 

1.空家の有効利用としての民泊

空家の利用方法の一つに「民泊」があります。

民泊は海外からの旅行者が増える中、とても注目を集めているのです。

しかし空家をそのまま旅館のような宿泊施設として利用した場合、旅館業法に違反します。

住宅を宿泊施設として利用する場合、スプリンクラー・防火壁の設置・避難通路の確保が防災上必要となるためです。

このように、宿泊施設として不特定多数の人が利用する場合には、厳しい規制が課せられてしまうのです。

しかし、昨今の外国人旅行客の増加や、オリンピックを目前とした宿泊施設問題に伴い、宿泊施設の不足が問題となっています。

その結果、空家の再利用として実際は違法であるにも関わらず、民泊が拡大しています。

このような状態を受けて、大阪府と東京都大東区では民泊を違法としてではなく、一つのビジネスとして活用できる「民泊条例」が制定されたのです。

民泊条例の正式名称は「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例」です。

名称通り、定められた地域で外国人観光客や、ビジネス客用をターゲットとしています。

民泊条例

・国家戦略特別区域内(大阪府・東京都大東区など)

・宿泊契約ではなく賃貸借契約として契約を行う

・居室は民泊条例12条3号に添うこと

・外国語の案内がある

・事業の一部が旅館業に該当

・宿泊人数制限あり

・自動火災報知機の設置義務

民泊ビジネスは、年間180日以下の営業日数に定められています。

そのためビジネスとしては十分に利益を得る事が難しいです。

そのため「民泊」+「マンスリーマンション」 「民泊」+「シェアハウス」の組み合わせでの運営も行われています。
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2.空家を利用した町おこし

空家を利用し子育て世代の誘致政策が行われている地域もあります。

家賃補助を始め、転入助成や転居助成を行い、空家対策と共に少子化対策を行い始めたのです。

また住宅支援だけでなく、村単位で継続した子育て支援を行っている村もあります。

子供の保育料や医療費の無料化など長く活用できる支援を行う地域もあります。

このような政策は、徐々に全国の市町村に広がっているのです。

 

3空家活用にひろがる委託ビジネス展開

空家の活用と共に、新たなるビジネスも誕生しています。

「民泊施設管理者」と呼ばれる民泊運営代行ビジネスです。

利用者の日程管理、クレーム対応、営業日数上限の管理などの民泊運営を実際に代理で行うビジネスです。

民泊は営業日数の上限だけでなく、実際の運営ノウハウが無いことには利益を出すことは不可能です。

そのため、空家を民泊施設として利用したいオーナーの代理を行うのです。

 

4.空家活用から生まれた支援を活用する転職支援ビジネス

「子育て世代の誘致のための転職支援」のビジネスも広がりを見せています。

遠方の転職情報は取得し難く、それが地方であればますます情報が少なくなります。

それでは、どんなに町おこしとして支援が行われていても、移住は出来ません。

そんな中、空家対策を行う自治体と協力した転職エージェントビジネスが展開されているのです。

 

■まとめ

少子高齢化と首都圏への人口流入により、地方の人口は日々減少しています。

それにより発生した大量の空家は、存在そのものが厄介なものとして処理されていました。

見てみないふり状態の空家に、罰則のある「空家対策の特別措置法」が施行されては面倒なものでしかありません。

しかしそれは新たなビジネスチャンスを誕生させたのです。

まだまだ日も浅いビジネスなだけに、今後の展開も非常に楽しみと言えます。