賃貸住宅の入居率を上げるために「ペット可賃貸」「ペット共存型賃貸」などペットを意識した賃貸住宅が増加しています。
しかし、実際にペットを飼っている或いは飼いたいと考えている人の数を考えた場合、まだまだペットと生活できる賃貸住宅は少ないと考えられています。
その中でも、猫の飼育を可能とする物件は特に少ないです。
■猫の飼育が敬遠されている理由と対策
猫の習性や飼育に多くの誤解があるからと考えられます。
そのため、ペットの種類が選択される賃貸住宅において猫が避けられる事が多いのです。
・爪とぎによるドア・壁・柱・床の損傷
・異臭問題
・発情期の鳴き声や、室内を走り回るなどの騒音問題
・放し飼いによる近隣トラブル
■猫の爪とぎへの誤解と対策
しかし賃貸住宅において、壁紙等は損傷がなくとも経年劣化と共に張り替えることが一般的となっています。
猫を飼ったことが無い人にとって「猫は引っ掻く」というイメージがあるかもしれません。
猫にとっての爪とぎは「爪の手入れ」「マーキング」の意味があります。
そのため、何処でも爪とぎをする訳ではなく、猫なりのルールが存在しているのです。
それらの習性を理解した上でさまざまな商品が販売されているのです。
最初からペット共生賃貸として、ひっかき傷がつきにくい「ペット共生用壁クロス」使用しておくのも手段と言えます。
これらの中には抗菌性が高く、汚れの落としやすいことを特徴としているものもあるため、入居者にとっても嬉しい対応となります。
■猫のトイレ問題と消臭対策
猫の尿の臭いは犬よりもキツイと言われています。
しかし、猫の体臭はほぼ存在せず、また綺麗好きでトイレの躾は容易です。
臭いの原因は、トイレ・エサ入れの始末の悪さに比例します。
シッカリすることで臭いの多くは対処できるのです。
夏場の暑い時期であっても、換気や消臭剤を活用すれば問題の多くは解決できるのです。
また不妊去勢手術が行われていれば、発情期のスプレー行為や鳴き声も抑制できます。
■猫だけが騒音トラブルの原因なのか?
古い賃貸住宅には、低コストで低品質のものがあります。
そのような賃貸住宅の壁は薄く、床も音が響き、窓にも防音性能はありません。
これではペットがいてもいなくても、生活していると言うだけで隣人・近隣住人との騒音トラブルは回避できません。
このような状態の場合
「お互いさま」と周囲が納得するか?
「私はペットによる騒音を出していないのだから、ペットを飼い私を不快にするのは身勝手だ」
と周囲が不満を吐き出すか?の違いであることも多いのです。
■ペット不可により回避できるトラブル
設計の段階でペット飼育が想定し、飼い主が少しばかり周辺に対する気配りを意識することで対処できるものが殆どです。
しかし、賃貸住宅において猫不可とする理由は別にあるのです。
猫よりも犬を飼う人が多く、猫への先入観が大きかったのは一昔前の理由です。
現代では、居住者同士のトラブルを回避するための理由が大きいとされます。
犬飼い・猫飼い・鳥類・爬虫類などのペットを飼う人が、全ての動物に対して寛容と言う訳ではありません。
・犬(猫)の声に猫(鳥)が怯える
・猫の声に犬が興奮する
・アレルギーがあるから毛のある生き物は苦手
殆どのペット飼いの人は、自分の飼っているペットが一番可愛いと考えるものです。
人は自身のペットに対するような、大きな寛容さを余所のペットに向けることは難しいのです。
その不満への対策を求められることを避けるためのペット不可なのです。
■猫可能の賃貸物件と賃貸ビジネスの可能性
しかしペット不可と苦手ばかりいられないのが現在の賃貸住宅経営です。
少子高齢化等や、人口の一極集中により賃貸住宅は入居者獲得のための競争が激しくなってきているのです。
そこで、猫が飼える賃貸住宅として付加価値をつけよう、他との差別化を図ろうと言う発想が生まれるのです。
特に現代では、ペットは「子供のもの」と言う意識から、ペットは「家族の一員」と変化しています。
また猫は、高齢化や単身化が進む中「癒し」として大きな意味を持っています。
これらのマーケット動向に関心を持ち、空き室の増えた賃貸住宅の募集条件・管理の在り方を変化させることが重要と言えるのです。
■まとめ
部屋の損傷などを理由に、ペットが問題とされているなら
・修繕費の預り金として敷金を多く設定する
・周辺に迷惑をかけないよう飼育条件を付ける
オーナーと入居者だけの問題であれば、それぞれの努力により改善できるものが多いのです。
入居率を高めたいと考えるオーナーは多く、いつまでもペットを無視することは出来ないでしょう。
ペットを飼いたい入居者は 「オーナーと条件を話あう」
入居者を増やしたいオーナーは「条件付けで、募集をかける」
などの対策も、今後ますます必要となっていくと言えるのです。