不動産投資への注目が続いているものの、国が中古住宅の流通促進を促しているため、新築の建築は縮小傾向にあります。
それに伴い未使用のまとまった空地を持つ地主に対する、ハウスメーカーの営業は勢いを増しています。
ハウスメーカーが提供する提案は「借入」「建物」を利用した相続税対策を行い、賃貸事業を行う事で定期収入を得る事にあります。
大手ハウスメーカーであれば、グループ事業に賃貸管理事業も行われている事が多く、建設したマンションを一括で借り上げる家賃保証(サブリース)の提案も同時に行われる事が多いです。
サブリースを利用することで、賃貸物件のオーナーは空室のリスクを負う事が無くなります。
安定した家賃収入を得る事ができるため、利益の高い投資方法と考えられます。
しかし、実際には築年数が古くなるごとにアパート経営は苦戦する事が多く、本当にハウスメーカーが提案するサブリースを信用していいのか?と疑問が生じます。
■サブリース契約のリスク
1980年代の後半のバブル時代の物価上昇は、不動産物件を購入した翌日に売却しても大きな利益を得る事が出来る時代でした。
そのため、1980年代後半の賃貸経営でサブリース契約を行う際には、物価上昇を視野にいれた「家賃の増額特約」がつけられることもあったのです。
しかし実際にはバブルが崩壊し、物価は大きく減少したのです。
物価の減少により、借地借家法32条1項により賃貸の借り上げ金額の変更が実際に行われたのです。
「近傍同種の建物の借賃と比較した場合、不相当な価格と判断されたときは、
契約の条件に左右されることなく、建物の借賃の額の増減を要求できる」
「ただし【一定の期間建物の借賃の増額を行わない】と、特約のある場合はその条件が優先される」
このように定められているため、バブル崩壊と共に特約の厳守は無効とされます。
■オーダーリースのリスク
借主が求める要求に基づき建築を行い、土地と建物をセットで賃貸契約を行う事があります。
これをオーダーリースと呼び、そのほとんどは期間を定め高額な賃貸契約が行われます。
そのため、オーナーはテナント用の建築費を金融機関から借り入れしてでも借主の要望に応じた建物を建築します。
賃貸契約の締結時に、一定期間の契約金額の減額を禁止する特約を締結します。
しかし、家賃価格の不減特約は、借地借家法の借家人保護により無効とされます。
オーダーリース契約の利用をおこなう業種には、コンビニ・飲食店などの小規模なものからホテルなどの大規模のものまでさまざまです。
それらの多くは汎用性が低い建物であることが多く、借主が退去してしまうと次の借り手を見つける事がとても難しい物件です。
オーナーは、賃料を維持した状態で長期間の借入れを希望するため、建築前に不減特約付きの賃貸契約を作成します。
しかし、その契約の殆どは無効とされています。
■まとめ
ハウスメーカーが進めるサブリース契約は、オーナーと管理会社の間で賃貸契約のため家賃減額請求が認められます。
この減額請求を拒んだ場合、管理会社との契約自体が破棄されることが殆どです。
そのため、アパートの賃貸において計画性を持たず管理会社に任せていては、管理会社の要求を聞かざるを得ないのです。
そのため管理会社のリスクは低く、ハウスメーカーは強気の営業が出来るのです。
これらを避けるためには賃貸物件を建築する前に、賃貸経営を行う事業主として事業計画を自ら戦略する必要性があると言えます。